【10】超スピードの英語に怖気付いた

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いよいよ留学生活開始

そうこうしているうちに、あっという間に8月末になり、大学院の入学の日を迎えました。

留学生オリエンテーションには、様々な国から本当に様々な年齢の人が集まっています。キャンパス内の芝生の上で一緒にランチを食べながら、ああ私はとうとうアメリカの大学に来たんだなーと感慨にふけったものです。

その後、補習英語の授業が始まります。こちらも順調に進み、これなら大丈夫、いけると思いましたが、、、。

そうではありませんでした。

先生はハッキリ分かりやすい英語をしゃべってくれる。クラスメイトはみんな留学生で、ゆっくり限られた語彙を駆使して話す。

ここで私の英語が通用するのは当然なのでした。ナマの英語の洗礼を浴びてあたふたするのは、専攻の授業が始まってからだったのです。

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怖気づいた早口英語

さて、専攻の授業が始まるその日、ドーナツとコーヒーのちょっとした歓迎会がありました。アメリカ人同士がドーナツを食べながら話す中、私も果敢に輪の中に入って行きました。みんな初対面同士なんだから大丈夫、と自分に言い聞かせて。

Excuse me, may I sit here?と声をかけ、もちろんどうぞと促され、空いている先に座り、私はまず自己紹介をしました。するとその途端、間髪いれず今まで聞いたこともないような超早口でこう聞かれました。

What’s your focus?

えっ、私のフォーカス? 

私のフォーカスって、、、なんだろ。

言われてみれば、私は何に興味があるんだろう。

海外日本研究司書の方々に触発されたのはキッカケのひとつに過ぎない。大学院の申請の際に出したStatement of purpose というエッセイには、学術情報流通について研究して日本のデータベース業界に生かしたいとかなんとか、もっともらしいことを書きましたが、それも方便のようなものでした。そもそもライブラリースクールを選んだのは、他の選択肢を知らなかったからなのです。大学でやったことのある図書館情報学であれば、英語で学んでもなんとかなるだろうと思ったからで、正直それ以上の理由などないのです。強いて言えば色々やってみたい。アメリカの本場の児童サービスもストーリーテリングも学んでみたいし、データベース設計にも興味はある。What’s your focusと聞かれても、フォーカスはブレブレなのが今の状況なのです。。。

もしもです。今、彼女に同じことを聞かれたら、私は素直にこんな風に答えることができるでしょう。

「私はいったんキャリアをリセットしてここにきたの。いろんな興味があってひとつに絞り込めない、これからアドバイザーと相談しながら決めていきたいと思ってるよ」。

でも。当時の私には、まあ無理でしたねー。早口の生きた英語にすっかり怖気付いていました。What’s your focus に対する模範回答はなんだ?どう答えるのが正解なんだ?なんか言わなくちゃ。えーと、本心じゃないけと、とりあえずこう答えておこう。一瞬のうちに頭をかけめぐってに出た言葉は、

Academic library

という一言。この一言をいうのが精一杯でした。

あっそう、と質問の主はうなずくと、すぐまた、元の会話に戻っていきました。

私の頭の中で、チーンという鐘の音が聞こえた気がしました。

(つづく)

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