【11】4人も子供を育てながら大学院はやっぱり無謀だったのかも…

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キンメル教授の図書館情報学概論

ここに、とある訃報記事のアーカイブがあります。

https://www.legacy.com/obituaries/postgazette/obituary.aspx?n=margaret-mary-kimmel&pid=171350926

キンメル, マーガレット・マリー   1938年インディアナ州生まれ。図書館司書、文学研究者、大学教授、児童文学作家、フリーランス作家。2014年6月10日死去。ピッツバーグ大学図書館情報科学科名誉教授。9年間主任教授を務め、児童サービス中心に大学院コースを教えた。ゴールデントライアングルブックを編纂。役職多数云々、、、。

2014年に亡くなった、このキンメル教授の忘れもしない図書館情報学概論。概論は最初にとる授業です。私にとっては生まれてはじめてのアメリカの大学院の授業でした。

ストーリーテラーでもある教授の英語は、子供に読み聞かせをするような語り口、発音も声もクリア、とてもわかりやすかった。しかし、わかりやすいのは教授の話し方のみでした、、、。

想像を絶した宿題の量

実際の授業は、予想を遥かに超えてハード過ぎました。初日に教授が「来週までに読んでくるように」と指示した文献の数が想像を絶していたのです。英語ネイティブでも読みきれないだろうという量なのです。でも次回の授業はその文献の内容を元にディスカッションをしなければならないのです。

私は青くなり、心臓がドキドキしてきました。

いくら子供達の放課後の面倒をお願いしたとはいえ、マダムにすべて丸投げはできません。現地校の宿題や日本語補習校の宿題、翌日の支度、補習校のお弁当作り。掃除(掃除はそんなにしないけど)、洗濯、買い物してご飯を作って片付けて、、、一体いつ自分の宿題をするんだ?

そして、そうです、もうすぐ図書館の仕事も始まるんでした。そしたら、ますます時間がなくなってしまう、、、。

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このままでは単位は取れない!

このコースの卒業要件は36単位を取得すること。学生ビザの留学生は1セメスターに最低9単位を取らなければいけないことになっています。そうでないと、学生ビザのステイタスを維持できず、国に返されてしまいます。

ひと科目が3単位なので、つまり3つ授業を取る必要があります。しかしそれを「たった3つでいいのね」と思っていた私の浅はかさ。

授業はそれぞれ毎回3時間、これに宿題が課されます。必要な時間を単純にシミュレーションすると、毎日徹夜しても追いつかない計算です。

どうしよう。身の程知らずとはこのことを言うのか。。これ、相当やばいよ。たぶん単位とれないよ。そしたら日本に帰るしかないよ。あんなに色んな人から応援してもらって子供達とここまで来たのに。初日でつまづくなんて、情けなさすぎる😨😨😨。

そういえば。

日外時代のお客様だったカリフォルニアの日本研究司書の方が、激励のメールにこう書いていたことを思い出しました。

「ライブラリースクールの授業は、知力より体力です」。

なるほどこういうことだったのか、、、。

授業が終わり、放心状態でエレベーターに乗ると、偶然キンメル教授が乗り込んできました。

私の目を見て、

So, is everything okay?

ちょっと不敵に微笑みました。

I’m overwhelmed と気弱な声で答えると、そうでしょうねとニッコリうなづいて降りて行きました。

(つづく)