【20】子供達のアメリカ生活サバイバル-男の子編②

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英語の能力をみる面接 I don't knowも知らなかった

長男は、中学1年生の1学期を終えた段階でアメリカにやってきました。前にも書いたように親の言うことに黙って従うギリギリの年齢だったと思います。

ミドルスクールに編入する際、英語のサポートが必要であることを証明するためだったか、まずは市の教育委員会に出向いて面談をすることになりました。担当者の人と、最初は親子一緒に、そのあと長男だけが別室に呼ばれ、いくつかの英語の質問に答えることができるかどうかをチェックされました。その結果、当然ですがことごとく何も答えられないということが客観的に認められ、ESLのクラスに編入できることになりました。

後から振り返って長男が言うには「オレはあの時、I don't Knowも知らなかったんだ」とのこと。そんな馬鹿なと私は思いました。6年生の時に自ら行きたいと言い出し、通わせてあげていた公文の英語、あれは一体なんだったんだ。はっきり言えることは、「やってて良かった公文式」ではなかった、ということですね(長男に限って言えば、ですよ)。

のちに彼が社会人になって就職した会社では、TOEICで900点をとると100万円の報奨金が出るという太っ腹な制度があり、長男はきっちり900点を取って、当時私が貸していた引っ越し代40万円を耳をそろえて返してくれたことがありました。しかし、それはずいぶん後になってからの話。この時点では、アルファベットもままならない状態で、ぽーんと現地校に放り込まれたのでした。

入った学校は、ピッツバーグ大学の近くにあるフリック・インターナショナルというミドルスクールでした。そこで彼はESLのほかに、なんと日本語のクラスを選択させられました。なぜならば外国語は必須科目だから。英語ですら片言の子供にもうひとつ知らない言語を学ばせるのは不可能なので、日本語を取らせるという学校側のはからいだったようです。外国語の授業に日本語があって本当によかった。みんながひらがなカタカナを習う中、長男は何をしていても構わなかったので、漫画を読んだり、先生と日本語で話したりしていたようです。

私はといえば、 自分の大学院の授業と図書館での仕事、下の子供たちの世話などなど、色々ありすぎて、長男に関しては殆どノータッチ、放置状態でした。もう中学生なんだから自分の頭で考えてなんとかするだろうという確証バイアスというか、なんとかしてほしいという気持ちが強かったんですね。

でも、やっぱり何もかも自分でというのは無理がありました。

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学校が始まった初日の朝。近所のスクールバスの集合場所に長男を連れて行った私は、帰りは〇〇通りと〇〇通りの角で降りてね、あとは歩いて帰れるから、と説明しバスに乗り込むのを見届けて家に帰りました。

その日は仕事がなく、夕方から大学院の授業があったので、自宅で山のような宿題の文献と格闘していましたが、午後の3時を少し回ったぐらいでしょうか。電話がなりました。受話器をとると長男からです。あら、どうしたの?と聞くと、今自分がどこにいるかわからない、家に帰れないと憮然とした声。えー、一体あんたどこで降りたのよ。わかんない。周りに何が見える?なんだろうな。しばし問答を繰り返し、とにかくそこを動かないでよ、待っててよ、とだけ伝え電話を切りました。そして、スクールバスの帰りのルートを逆に走って長男を探すことにしました。

まったく人の話を聞いてないんだから!この忙しいのに、なんでこういうことになるわけ?ぷんぷん怒りながら車を走らせていると、5分ほど走ったでしょうか。道端に不機嫌そうに座り込んでいる長男を発見。無事に身柄を確保できました。帰りの車の中では、人の話をちゃんと聞けとか、ガミガミ文句を言った覚えがあります。しかし考えてみたら、アルファベットがやっと読める程度で、通りの名前なんか瞬時にみてもわかるわけないですよね。日本にいたとしても知らない場所では似たようなものでしょう。

もうひとつ、今にして思うことは、あの頃の自分は車を運転していたんだなあということ。完全にペーパードライバーとなった今では信じられません。昨今、高齢者の事故が多発している(ようなイメージがあります)が、いつもひとごとではないと思いながらみています。特に道路の狭い東京では。

アメリカの道路は広く、駐車場も前からつっこんで斜めに止めてもまだ余裕があり、縦列駐車など必要なく、日本に比べたらとても楽でした。そんな楽なアメリカなはずなのに、しばらくして、子供たちに今でも「あの時は死ぬかと思った」と言われる事件が起こったのでした。

そのつづきはまた今度。

(つづく)