【22】デジタルアーカイブ授業のプレゼン②

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アメリカ人学生も意外と下手だったプレゼン

2週間ほど台所やリビングで練習を続け、原稿なしでほぼ話せるようになったかならないかの頃、いよいよプレゼンの本番の日になりました。

私の順番はかなり後の方で、クラスメイトたちはどんな発表をするのか、興味津々でしたが。。。

え、、意外とみんな下手なんじゃ、、?

出てくる人出てくる人に、そんな印象を持ちました。私が英語を理解できないだけかとも思いましたが、そういうことでもなさそうです。

みんな物怖じしないし、堂々と喋ってはいる。もちろん原稿なんか読み上げない。そこはさすがです。でも、例えば、アーカイブのサイトをスクリーンに投影し、これはああで、ここはこうで、と説明するスピードに、聴衆の目の動きが全く追いついていかない。画面をむやみやたらと上下に動かし、マウスを無駄にスクロールする。ポインターを無意味に移動させる。終始プロジェクターを見上げ、前を向かない、、。っていうかさ、そもそもなに?皆んなキャプチャー画面をパワポに貼り付けるとかしないわけ?

別の授業でレファレンスのインタビューを即興でやるという時間がありましたが、アメリカ人のクラスメイトはいきなりその場で指されて前に出てきても、まるで台詞が最初からあったかのように自然なロールプレイをしていました。時にはジョークを入れたりとても上手でした。だから、さぞかしプレゼンも凄いんだろうと思っていましたが、、。

違うものなんですね。人前で話す訓練はできていても、聴く人のことを想像するまでには至ってない。なんだ、やっぱり同じ人間だわね。多くの学生は私より10歳以上若く(当時私は37歳)、社会人経験もあまりない。出来るように見えて、実は結構レベルが低かったりするわけだ。

そう思いました。

準備不足が仇になった日本人クラスメイト

そうこうするうちに、この専攻で唯一の日本人クラスメイトの発表の順番が回ってきました。実は、彼女とはその時点ではあまり会話をしたことがなく、日本の大学を出た後、割とすぐにこちらに来たということぐらいしか知りませんでした。ちなみに英語は私よりはるかに流暢でした。

しかしプレゼンはというと、自分も準備をしなかったら多分こうなっていたに違いないと思うような大事故でした。メモの箇条書き程度にしか、話す内容を準備しなかったのでしょう。説明はしどろもどろで、クラス中の頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいるのがわかりました。私は途中からがんばってー、がんばってーと念を送っていましたが、しまいには彼女自身、自分で何を言っているのかわからない様子に。持ち時間も大幅に超え、リズ・ショウが「そろそろまとめに入って」と声をかけたため、メチャクチャ尻切れとんぼでプレゼンは終了。いたたまれない空気がクラスを覆いました。

ああ、あれは一歩間違えば私だったんだ。十分な準備をしないと、本番で全てが吹っ飛んでしまう。自分を過信してはいけない、、、。本当にそう思いました。

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シンプルなジョークで笑いを取る

さて、そんなこんなで自分の順番が来た時、私は全く緊張しませんでした。このクラスの誰よりも愚直に準備してきたことは自分が一番わかっていたからです。ただ一点心配なことがありました。私がツカミに入れたジョーク、これを外すべきかどうかです。受けなかった時の自分のダメージを考えたら、外す方が無難。でも、どうしても試してみたい。。

私は外さないことに決めました。

「JSTORという名前、これはジャーナル・ストレージの略です」

こう始めた後続けて言いました。

「ジャパニーズ・ストアではありません」。

するとどうでしょう。クラス中がどっと湧いたではないですか。あーこういう下らないジョークお好きですかそうですか。

クラス中が和んだところで話しやすい雰囲気になり、そこから先は練習通りにすらすら行きました。そして無事に拍手喝采で終了。

ほっとしました。

Aプラスの評価をもらう

アメリカ人の良いところは、凄いと思ったらその事をきちんと本人に伝えるところですね。授業が終わっだ後、ぽんぽんと肩をたたかれ、「あなたのプレゼンがベストだった。感心したわ」と言われました。これは嬉しかったです。

後日返されたレポートの評価はAプラス!「素晴らしいプレゼンでした」とのコメントがありました。

出来ない人は出来ないなりに泥臭く準備する。

これに尽きるなと改めて思ったのでした。

(つづく)