【30】使えるものは子供でも使う。レファレンス資料とサービスという授業のレポートでは次男と長女を動員した

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ある時、「レファレンス資料とサービス」という授業で「Formal Reference observation」というレポートが課されました。これは、William Katzという人が書いた、その道ではたぶん古典に属するのだと思いますが、レファレンスの教科書のセオリーにのっとり、実際に図書館で行われている利用者からの質問とそれに対応する図書館員とのやり取りを観察し評価するというものです。図書館をひとつ選ぶ。館種は問わない。そして3つの事例を取り上げること。そんな内容の指示でした。

つまりこれ、知らない人の質問と図書館員との会話に、私がこっそり聞き耳をたてるわけです。そして、図書館員がどのように利用者に対応しているかを見るのです。たとえば、質問の意図を確かめるためにインタビューをきちんと掘り下げているか、思い込みで回答していないか、利用者に対する態度はどうかなどなど。いろんな角度から観察し、それをまとめるわけです。映画「ニューヨーク公共図書館」をご覧になった方は、冒頭のシーンでヘッドセットをした図書館員が電話越しに利用者への質問に答えていたのを覚えていますか。まああんな感じのことを対面式で行っている、その様子を観察するという課題なのでした。

ことほど左様に、ライブラリースクールは取る授業取る授業とにかく実践的な内容でした。 私が履修した授業がたまたまそうだっただけなのかもしれませんが、こんな課題が出るたびに「ライブラリースクールは知力ではなく体力」というカリフォルニアの日本研究司書の方の話を思い出していました。

 

さて、利用者と図書館員の会話に聞き耳を立てて観察する。これ、はっきりいって私には無理な話です。英語が聞き取れません。トピックについて明るくなければなんの話か推測もできません。こりゃあ大人のレファレンス事例は無理だな。児童サービスのコーナーで観察することにしよう。そう決めました。

とはいえ、児童図書館で一日中へばりついていたら、不審に思われるに決まっています。この手の課題では、自分がライブラリースクールの学生であると正体を明かすのはご法度でした。仕方ない。ここは「やらせ」とまではいかないけれど、子供たちに協力願うことにしよう。3つのうち一例だけは実際の利用者とのやりとりを観察することにし、あとの2例は彼らに質問を仕込むことにしました。

5年生の次男と3年生の長女にそれぞれ「図書館でさ、なんか探したい本とかない?」と聞くと、長女はペットの本、次男は化石の本を探したいと言いました。よし、それでいこう!車で向かったのはカーネギー公共図書館の分館です。

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 まずは普通に観察を開始。最初の利用者は10代の女の子。図書館員に書架の本はどういう順番で並んでいるのか聞いていました。すると図書館員は、分類の説明を長々とし始めました。しかし、女の子はただ単にコンピューターに関する本がどの棚にあるのか知りたかっただけなのでした。よし、これはなかなか良いインタビューあるあるではないか。これでネタがひとつできた!

次に娘と息子にそれぞれ頼んで質問をしてもらいました。ポケットには念のためボイスレコーダーをしのばせました。内容的にも分量的にもまずまずのやり取りができました。

こうして書いたレポート、たまたま手元に残っており見返すと、結構まともな英語でまともなことを書いているので我ながら驚きました。最初のCマイナスから約1年たってのレポートは、英語力も各段に上がっている様子です。ライティングセンターのおかげなのかしら?

「Katzは図書館員による言語、非言語の最初の反応が利用者とのインタラクションのレベルに大きな影響を与えると述べている。また、コミュニケーションにおいてポジティブとネガティブ、2つのパターンを理解することが重要だと述べている。これに照らしてみた場合、観察対象の図書館員は終始書架点検を行っておりカウンターにいなかった。利用者は3名ともまずカウンターに行き、図書館員を横目で見ながら、自分の存在に気付くのを待ったが、最終的には書架に動いて図書館員に自ら話しかけた。しかし図書館員の態度からは無言の圧力が読み取れた。。。云々かんぬん」と書いてありました。いやー、すっかり忘れたなあ。

課題ではこのほかにメールによる質問の評価と分析がありましたが、これらを合わせたレポートの評価は10点満点で9.5点。大人の研究支援とか高度なレファレンスのやり取りではなかったので、こんなに高い点数をもらうのは気が引けましたが、きちんと的を射ているという評価だったので安心しました。

そういえば。

子供たちへのお礼って、何もしなかったかもしれない・・・。

(つづく)

 

 

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