【55】アメリカ滞在中、半年に1回はニューヨークに行った

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半年に一度のニューヨーク訪問

留学当時、私は半年に1度の割合で必ずニューヨークを訪れていました。と、こんな風に「訪れていた」なんて書くと、なんだか鼻もちならない感じがしますね(そんなことない?)。実は行きたくて行っていたわけではありません。いや、たまには子供達を連れて年末を過ごしたり、日本から来た母や友人と遊びに行ったりしたこともありますが、基本的には絶対に足を運ばなければならない理由があったのです。それは遺族年金受給のための手続き。半年に一度、管轄の領事館に出向き、住民票がわりの在留証明をとらなければならなかったのです。

ピッツバーグでは春と秋、遠隔地に住む日本人への行政サービスの一環として、「一日領事館」なる出張業務も執り行われていました。が、私が必要とするタイミングと合わず、結局いつも身銭を切って出かけていました。

ピッツバーグとニューヨークは車で8時間ほど。日本で言えば、東京ー盛岡間よりちょっと遠いぐらいの距離です。さすがに日帰りは無理。そもそも何故ニューヨークの領事館? ワシントンDCへは車で4時間、半分の時間ですむのに。ピッツバーグはペンシルベニア州にあるので、フィラデルフィアと同様ニューヨークの管轄なんですね。不便な状況は、中野区との区境に住んでいる杉並区民にも少し似ています。

交通費の節約のため、グレイハウンドバスを使う

 車でハイウェイを使って遠出するという選択肢は、私には全くなかったので、交通手段は飛行機かバスでした。安いのは断然バス。往復90ドルほどでした。しかも車中泊ができてホテル代が不要。空港からの移動がない。ダウンタウンのターミナルを夜の11時45分に出発し、フィラデルフィアを経由、朝の8時頃にニューヨーク42丁目のポートオーソリティバスターミナルに到着します。

ニューヨークに着くと、まず朝食をとります。それから領事館に行き、在留証明を取得、お昼を食べたら午後の帰りのバスに乗る。すると、その日の夜中までには家に帰り着くわけです。

とまあ、このような強行軍だったので、子供達、特に一番下の娘は、仲良しのジョアンのお母さんや友人にお願いし、いつも一人で出かけていました。

次女の猛抗議に降参

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 何度目かのニューヨーク行きの時です。たった一泊だし、翌日には帰るし、長男もいる。今回は子供だけで留守番をしてもらおう。そう決めて、子供達に留守中の注意を言い含め、夜の9時に身支度をしていると、次女が珍しく駄々をこね始めました。泣きながら絶対に一緒に行くと言い張って聞きません。うーん、しょうがないなあ。ちゃんと歩く?疲れたって言わない?何か買ってって言わない?迷子になっちゃだめだよ?わかった、じゃあ連れて行ってあげる。急遽ネットでバスのチケットを追加購入。車に乗ってバスステーションのあるダウンタウンに向かいました。

独特の雰囲気があるグレイハウンド・バスターミナル

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 グレイハウンドのバスターミナルは空港と違った特有の雰囲気があります。私も含め、経済的にはあまり豊かでない人たちも使う移動手段ですから、色々な人がいました。ある人はスーツケース替わりに黒いごみ袋をサンタクロースのように肩にかついでいます。また、一体どこに向かうのか、大家族でものすごい量の段ボールを運んでいる人もいました。

指定席はないので、バスが来ると、みな我先にと席を確保します。そのため、待合室のベンチに座っている人は少なく、多くの人は発着のドア付近で腰を下ろして待つか、ずっと立っています。何度かの経験でそれを知っていた私はピクニックシートを持参、シートを敷いて娘と腰を下ろしました。

バスに乗り込みようやく出発すると、今度は飛行機で使うU字型のエアまくらをふくらまし、娘と私の首にあてがいます。車中泊のバス旅ではこうしたアイテムが必須でした。フィラデルフィアに着くのは明け方なので、それまではできるだけ眠るように心がけます。幸い、娘はほどなく私の膝の上で熟睡してくれました。

娘とプチ観光旅行

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こうしてバスは、朝の8時半にニューヨークのタイムズスクエアの一角にあるバスターミナルに到着。出かける前、さんざん何も買わないよ、オトナの用事をするだけだよ、と言い含めていたにも関わらず、せっかく娘を連れてきたのだからと、しばし観光気分にひたりました。領事館で在留証明をとった後は、普段は決して食べられないちゃんとしたお寿司を食べ、紀伊国屋書店で絵本や漫画や単行本を買い、アメリカンガールズで人形と人形の服を買い・・・ピッツバーグでたまっていた物欲を、この時とばかりに満たし、散財したことを覚えています。ニューヨークには特別な刺激がありますね。

(つづく)