【63】現役のライブラリアンによるライブラリー・インストラクションの授業、一体何の意味があるのか当時はわからなかった

現役の大学図書館員による授業

日本研究のサーティフィケイトプログラムをあきらめ、素直にライブラリースクールの授業に専念すると決めた私。アメリカの図書館情報学の修士課程は、アカデミックというよりは実践的なプログラムで構成されていたことは何度か書いていますが、とりわけ、現役のライブラリアンによる「Library Instruction」(図書館での講習会のやり方を学ぶ授業)は、その傾向が顕著に出ていました。

即興スピーチやらプレゼンやら

この授業は、情報リソースへのアクセスの仕方そのものを学ぶのではなく、どうやってそれを利用者に教えるか、そのスキルを実践的に習得するのが目的でした。いってみれば講師養成ですね。それを人前での話し方のスキルに絞って組み立てた授業です。

授業では、2分間の即興スピーチをやらされたり・・・

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 どんなテーマでも良いので、何かについて人にやり方を教えるというテーマで、10分間のプレゼンテーションもやりました。

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一体図書館となんの関係が?

さて、このライブラリー・インストラクションの授業、およそ図書館とは関係のない、どうでもいい話を、クラス中のみんなが順番にするわけです。私の場合、以前にも書いた、バスに乗ろうとしたら、ドライバーさんにGet offと言われたと一瞬誤解した話や、日本のプロ野球選手がメジャーリーグで大活躍している話、折り紙の鶴の折り方など、こんなの授業でやることに一体なんの意味があるのかしら?と思いながら、言われるままに色々やりました。

唯一図書館ぽかったのは、実際の図書館の講習会に潜入し、講師を観察して評価レポートを書くというものでした。私はカーネギー公共図書館に行き、JSTORの講習会に参加しましたが(公共図書館ですらJSTORを契約しているのにも感心しました)、講師のライブラリアンが、彼女の癖なのでしょうか、終始目をつぶりながら、上を向いてしゃべっているのにはさすがに驚きました。

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ひたすら恥をかきまくった

この潜入して観察しレポートを書くという課題を除き、授業は自己嫌悪の連続でした。クラスの前で話すたび、私の頭の中は大混乱、文法がめちゃくちゃになり、単語の羅列になり、しまいには自分でも私一体何言ってるのかしら?と訳がわからなくなります。最後までその繰り返しでしたが、結局この訓練をしたことで、自分が一体どこでどんな状態に陥るのかを予測することができるようになりました。これは、その後仕事上でのプレゼンのリスク管理に大いに役立ったと思います。

人前での話、不得意な人なりの準備

勝間和代さんは、Youtubeの自分のチャンネルで話を収録するとき、まったく準備もしないし、撮った動画を編集もしないのだそうです。頭で考えたことを瞬時に理路整然と言語化できるなんて、うらやましい限りです。私にはとても真似ができません。私は今でも人前での話は苦手意識がぬぐえませんから、日本語であったとしても、結構しっかり準備をします。とはいっても完全原稿を用意するという意味ではありませんが・・・(完全原稿を準備すると、原稿に頼りたくなってついつい目をやってしまい、プレゼン全体がものすごくつまらなくなるか、あるいは、書いたことがすっぽりぬけてしまって大事故につながる恐れがあります)。

私がやっている準備は、話のポイントを押さえながら、頭で考えたことをその場で口にする練習です。例えば、あ、ここで支離滅裂なこと言っちゃうんだな、とわかったらストップし、別の言葉で言い直す。全て録音しておいて、時間があれば客観的に聞いてみます。それを何度か繰り返して、どこでつまづくのかをシミュレーションしておくと、心理的にも非常によい状態で本番に臨むことができるんですね。

あのライブラリー・インストラクション、くだらないテーマで色々話をしたけれど、特別な能力のない人が自分を過信しないで準備することの重要性、これだけはしっかり叩き込まれたと思います。

(つづく)