【64】留学生を招待したThanksgivingのパーティー、奉仕ってなんだろうと考えた

留学生向けの催し、Thanksgivingディナー

11月の第4木曜日のThanksgivingデー、この前後は日本の年末年始のように職場やお店が休みになり、街全体がスローダウンします。アメリカ人の多くは親戚の家に出かけたり実家に帰省したり。一方、留学生は特に予定はなく通常の生活通り、イベントと言えばせいぜい初売りに出かけることぐらいです。

そんな留学生に向けて、この前の週を中心に、教会などの慈善団体はいくつかのイベントを開催します。ヘレンから受けた誘いもそのひとつでした。

f:id:kozureryugaku:20191025124725p:image

ある日、彼女がどこからか情報をもらってきました。大学近くのホールで留学生向けのThanksgivingの夕食会があるんだって、ただでご飯が食べられるよ。行かない? 聞けば子連れでもOKらしい。いったん家に帰って子供達を連れてでかけることにしました。もっとも、当日会場に着くと、既に多くの留学生でごった返しており、ヘレンを見つけるのは困難でした。私は子供達と一緒に空いているテーブルを見つけて着席しました。

f:id:kozureryugaku:20191025124745p:image

列に並んで食べ物をもらう

司会者の挨拶が終わると、留学生は列に並んでビュッフェ形式の食べ物をとるよう促されました。私も子供達と一緒に紙皿を持って列に並びます。150人はいる参加者の食事は全て手作りのようです。きっと何日も前からこの日のためにみんなで準備したのでしょうから相当な労力です。

しかし、私達留学生に食事をよそっている教会ボランティアの人たちに、私はかすかな違和感を抱きました。普通こういう場合、見知らぬ人にもにこやかに話しかけるものだと思うんですが、皆さんあまりフレンドリーじゃない。お皿によそってくれるのは全員女性とその子供達(女の子)。もっというと白人オンリー。笑顔もなく、こわばった表情で淡々と紙皿にターキーやクランベリーソースを盛り付けています。一方、会全体を仕切っているのはスーツを着た男性です。この主催教会、数ある教会の中でも保守的な一派だろうなということは想像できました。なんとなく「施し」に近い雰囲気に、私はだんだん居心地の悪さを感じ始めました。

f:id:kozureryugaku:20191022151909p:image

「あなたは日本の田舎から来たの、それとも都会から来たの?」

テーブルに着くと、全員でのお祈りがあり、食事開始。各テーブルには教会のメンバーが1人ないしは2人ぐらいずつ座り、留学生と会話をします。我々の席にはさっきまで会を仕切っていた男性が座り、次男に君は何年生?と聞いたり、学校は楽しい?と尋ねたりしていましたが、不意に私に向かってこんなことを質問してきました。

「あなたは日本の田舎から来たの、それとも都会から来たの?」

私が東京に住んでましたと答えると・・・。

f:id:kozureryugaku:20191022151928p:image

「そうか東京か。なら良かった。田舎にいたとしたら、いきなりアメリカのこんな街に来たらカルチャーショックが大きいと思うからね。わっはっは」

「・・・・」。

これって・・・。「無邪気」と「無知」が入り混じった外国人に対する「無自覚」な見下しっていうのかなあ。しかも自分はものすごーく良いことをしていると思っている。自分も気づかずに似たようなことを日本でやっていたかもしれない、人の振り見て我が振り直せ、まさにそうだねー、と私は思いました。

その後、教会のメンバーによる歌や楽器の演奏があり、、、

f:id:kozureryugaku:20191022151944p:image

最後はこの会の主目的である聖書のお話があり、こうして夕食会は終了しました。

自分のためにやっているんだという自覚

自分が何か募金やボランティアなど、社会的に「良い」とされていることに関わる時、私はこの夕食会の居心地の悪さを思い出します。これについて天才落語家、故・立川談志師匠は「人間の行為というのはすべて不快感から始まる」という素晴らしい表現を残しました。f:id:kozureryugaku:20191022151958p:image

全ての人間の行為というのは「不快感」からはじまるんです。(ボランティアは)ボランティアしないと不快だから(やるん)ですよ。それが良いことだと決めたんですよ、勝手に。よく考えてみると人を助けてやるのと人殺しが好きなのと大して変わんないんですよ、基本的に。だけど「助けてやる」方がいいとしているんですよ。いい行為をしたときに恥がないのかね?威張ることじゃないけど、俺も人を助けてるよ。(でも)「談志さんに助けてもらった」(と言われたら)「いやー、よしとくれよ」(と返す)。だって助けたいからやったのよ?自分が。https://www.youtube.com/watch?v=127KSNEM8lE

世間的にみて良い行いとされていることも、自分のためにやっているんだという自覚と恥じらい、これは出来るだけ忘れないようにしたいなあと思います。

(つづく)